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各国の短波放送の動向

JUGEMテーマ:BCL

世界各国の短波放送に関する情報を、『月刊短波』2011年11月号から拾い読み。

VOA、BBCなどが短波放送を縮小・廃止してインターネット放送へのシフトを目指している中、DWはインターネットのストリーミング放送までも止めてしまうという。
もはやラジオ放送の全廃に等しい。

◎BBCのリストラ進む 〜2000人解雇・中波放送は原則廃止

 英国政府の「BBCを2016年までに極めて小さくする計画」により昨年度比で予算の20%削減を言い渡されているBBCは、8つのチャンネルの廃止、50の放送局の廃止などでかなり小さくなったが、更に2000人の職員を解雇して人件費を削減するとともに、放送権料の必要なスポーツ番組の廃止、再放送番組の増加、ロンドン西部に保有する資産の売却を進めて2016年度までに6億7000万ポンドの費用を削減する。受信料は一世帯当たり年間£145.50で据え置くが、BBC World Serviceは政府から支出される資金で運営する。BBC幹部は「政府の公共支出が全面的にカットされる中では仕方がないこと」と職員を説得している。 BBCを小さくすべきという要請はメディアとしてライバルとなるBSkyBなどからも強く主張されてきていたが2010年に成立した新しい英国政府はこれ らを受け入れた政策を行っている。BBCのMark Thompson会長はこれ以上BBCを小さくするともはやBBCとしての機能は果たせなくなると警告している。結局BBCの縮小でBSkyBが得をした形となっている。(Media Network 10/6)
 英国のChiris Greenway氏によると、BBCは今後の放送縮減計画を発表した。それによると、FM放送が存在する地域のAM放送はすべて廃止となる。ただしRadio 5 Live、Asian Network系は残す。またJersey、Guernsey、Gloucester、Derby、Scotland、Wales、Ulster/Foyle地域の中波放送は残す。長波放送には投資せず、放送は続けるが施設が老朽化して支障が出た時点で廃止する。その時点で全国放送が必要な場合は残存しているアナログ送信機で中継する。(DX Listening Digest Yahoo Group 10/6)
 英国政府のBBC政策がある集団の要請によるものではないかと疑問を呈しています。

◎ラジオ放送を否定したDW

 ブラジルのElmar Meurer氏によれば、Deutche Welle(DW)は10月末でアフリカ向以外のすべてのラジオ放送を中止し、Sines(ポルトガル)とTrincomalee(スリランカ)の中継局は廃止される。短波放送を廃止するだけでなく、インターネットのストリーミング放送も止めてしまい、一部のpodcastとオンデマンド放送が残存するだけになってしまい、メディアとしてのラジオ(音声)放送を放棄してしてしまうことに特徴がある。残るのはTV放送だけだが、有料のTV放送だけで聴取者を今後維持して行けるかは疑問が残るところである。悲観論者はDWはラジオというメディアを放棄したことにより今後解体に向かうだろうとしている。 DWはラジオ番組の制作やアーカイブの維持に定評があり、局の番組制作意欲が今後著しく低下することが懸念されるからである。(DX Listening Digest 1143)

逆に、極めて冷静かつ客観的に短波放送の重要性を認識しているのは、CRI(中国国際放送)とアメリカの宗教放送局。
ちなみに、以下の記事で触れられているKNLS(New Life Station)はかつて日本向け日本語放送も行われていた。

◎World Christian Broadcastingは短波を最重視

 無線通信が始まって以来VOAなどの国際放送は短波を使用してきた。最近は多くの放送団体が他のテクノロジーによる放送に切り替える傾向にあるが、米国の宗教放送団体だけは短波に固執している。そんな宗教放送団体であるWorld Christian BroadcastingはアラスカのKLNSを経営し短波で英語、中国語、ロシア語で放送中である。代表のCharles Caudil氏は「短波には大いに将来性がある」と語っている。特に開発途上国における地方地域に向けた放送には効果があるとしている。氏は更に「このような地域ではインターネットにアクセスできたり衛星放送の受信設備を持っている人は少ない。しかし短波ラジオくらいは持っている。世界中には30億セットの短波ラジオが出回っているのだ。」と語っている。World Christian Broadcastingは30年前にMaurice Hall元陸軍大尉によって創立された。Maurice Hall元陸軍大尉はルーズベルト大統領がヤルタでチャーチルやスターリンと会談した時に短波放送設備を設置するのに従事した人物である。 テネシー州Nashvilleに本拠地を置いて世界中に布教活動を行う米国最大のキリスト教放送団体である。このほどイスラム教世界に門戸を開くためにMadagascarに中継局を建設した。布教放送の手段にはTV、インターネット、携帯電話等色々あるが、World Christian Broadcastingは短波が最も良いと信じている。(VOA NEWS 10/28)
 VOA NEWSが敢えて伝えたところが意味深であり、「嫌短波派」が跋扈するBBGに対するVOAの意見をWorld Christian Broadcastingの口を借りて表明したのでしょう。

カナダの放送団体CRTCの指摘は至極真っ当で、世界中の国際放送局が是非とも反省すべき点である。

◎メディアプラットホーム移行に関する議論に意図的な誘導 −カナダの放送団体が指摘

 カナダのCanadian Radio-television and Telecommunications Commission (CRTC)は、最近行われているオンラインやモバイルへの放送プラットホーム移行に関する議論には意図的な誘導があると発表した。明確な事実に基づかずに安易なプラットホーム移行政策がとられると警告している。その論点は以下の通りである。
 ・新しい方法で情報が届けられるようになっても今までの方法(無線放送)を止めてしまう訳ではないのに、「不要となる」と結論づけてしまう。
 ・インターネットや携帯電話を使用する人が増えているという事実だけで、プラットホームも移行すると結論してしまう。
 ・カナダ人はインターネットや携帯電話でも補完的に情報を得ているだけで、テレビ放送の契約率は下がっていないのに、既存の放送は不要になると結論して しまう。
 ・既存メディアもインターネットやモバイルサイトを立ち上げて国際的にアピールしているにも拘わらず、インターネット・モバイルメディアのみが国際的に情報を届けることができると結論してしまう。
 ・ビジネスモデルとして成功したオンライン番組の少数例をもってメディアの全てがその方向にあると結論してしまう。
 ・聴取者が現在の放送メディア並に増加してきた場合のインターネット・モバイルメディアのキャパシティ対応能力の問題を無視する。(Media Network 10/5)
 「短波は時代遅れのメディアであり……」というのと同じ論理で最初から結論ありきの世論誘導がなされている感があります。こういう事は世界中で行われているのですね。

at 20:24, もーちゃん, BCL

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