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第44回「憲法と人権を考える集い」

JUGEMテーマ:反戦・非戦

京都弁護士会主催の第44回憲法と人権を考える集い(11月16日 日曜日 13時〜/シルクホール)に参加した。
毎年行われているのだが、今年初参加となる。

今年のテーマは
憲法の大原則──立憲主義を考える

解釈改憲は日本をどこに導くか

第1部の講演(各氏10分)とパネルディスカッション・質疑応答(1時間半)は、
宮崎 礼壹氏(法政大学教授・第1次安倍政権下の内閣法制長官)
小林 節氏(慶応大学名誉教授・憲法学専攻)
伊藤 真氏(弁護士・日本弁護士連合会憲法問題対策本部副本部長)
大石 眞氏(京都大学教授・衆議院選挙制度調査会委員)
によって行われた。
講演のレジメは以下の通り。

宮崎氏レジメ1
宮崎氏レジメ2
宮崎氏レジメ】


大石氏レジメ
大石氏レジメ】


小林氏レジメ
小林氏レジメ】



伊藤氏レジメ
伊藤氏レジメ】

先ずは宮崎氏の講演からポイントを。

集団的自衛権の行使は無限に行われるべきではない。
国連憲章51条に「国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」とある。つまり、集団的自衛権を行使する権利は国連軍の介入までの間だけである。

次に大石氏。

  • 集団的自衛権はサンフランシスコ平和条約NATOなど、国際的に承認されている権利である。
  • 7月1日の政府閣議決定は個別的自衛権の論理に近い形で決着させたもので、集団的自衛権行使の可能な範囲は極めて限定されている
  • 憲法解釈の変更は認められるものである。
  • 憲法判例の変更はすでに多く行われている。
  • ヘイトスピーチに対する法的規制は憲法第21条(表現の自由の保障)の公権解釈の変更が必要だが、これによって立憲主義の崩壊とは言えない。

続いて小林氏。

  • 立憲主義Constitutionalism)」とは「本来的に不完全な人間が一時的に主権者国民から預かった権力は、主権者国民の最高意思としての憲法を遵守しながら権力を行使すべき」とする原則である。
  • 憲法9条1項は1928年のパリ不戦条約と同じ。
  • 憲法9条は集団的自衛権を認めていない。それは、第2項で「軍隊」と「交戦権」が否定されているから。
  • 閣議決定で集団的自衛権を解禁するのは99条(憲法尊重擁護義務)に明白に反する。
  • 国際法は、国内法に反しない範囲で守るのが常識。

最後に伊藤氏。

  • 憲法は「国家権力を制限し(これは政府に対する猜疑からくるもの)、人権保障をはかる」という立憲主義の理念を基盤としている。
  • 人権侵害の最たるものは刑事罰と戦争である。
  • 閣議決定による問題点は、国民を危険にさらすことだけにとどまらず、軍拡による防衛費増長で社会保障のための予算が回されなくなることである。

休憩を挟んで行われたパネルディスカッションでは、3つのテーマについて話された。

9条の解釈として集団的自衛権行使は認められるのか?

宮崎氏】
  • 自衛戦争は一切禁止
  • 自国が武力攻撃されている時は認められる
  • 集団的自衛権は国際紛争に乗り出すこととなるから認められない

大石氏】
  • 自衛権は明文化されていないが認められているという前提
  • 国際法上の交戦状態では、相手を合法的に殺傷できる
  • ただし、安保理が動くまでの間に限定

小林氏】
  • 自衛隊は専守防衛に限られる
  • 自衛権は自然権の一つ
  • 憲法からは海外派兵が読み取れない

伊藤氏】
  • 憲法9条では戦力不保持・交戦権なしと定められており、例外は認められない
  • 明文化されたルールは例外を認めず守るべき
  • したがって、集団的自衛権は明らかに認められない

今回の政府解釈はこれまでの基本的論理に収まっているか?

4氏ともに、収まっていないという見解。

伊藤氏】
  • 「国民の権利を守る」という点では解釈変更の前後に共通している
  • ところが解釈変更後の集団的自衛権行使は已むを得ないとするのは「状況が変わったから」とされる
  • しかしそれでは9条の存在意義がなくなる
  • 同時に、国権の縛りを緩めることになる

新3要件の基準の明白性はあるか?

大石氏】
  • 法律的に可能かどうかについては、「根底から覆される明白な危険」ではない
  • 実行するかどうかは別問題

小林氏】
  • 2度のオイルショックでも日本は“沈没”しなかったから、ホルムズ海峡封鎖でも「根底から覆される明白な危険」ではない
  • たとえ石油の輸入が絶たれても国内には備蓄があるし、他のエネルギーもある
  • ホルムズ海峡を通過する航海権を有しているので、仮に「根底から覆される明白な危険」であれば、それは個別的自衛権で対処できる問題

伊藤氏】

  • 「根底から覆される明白な危険」ではない
  • 時の政府による恣意的運用が可能になってしまう

宮崎氏】
  • 「根底から覆される明白な危険」という要件そのものが不当
  • 外国船籍(e.g.パナマ船籍)を想定?

最後に補足として──

大石氏】
訴訟を起こして政府を正そうとしても、実害がないと認められることはないから、選挙など多様なチャンネルを通して意思表示を行うのが重要。

宮崎氏】
人種差別撤廃条約の一部留保でも、ヘイトスピーチの処罰は可能。

2時間半に及ぶ講演とパネルディスカッションで、「やっぱりそうだよね」ということだけでなく新たな気付きもあり、有意義なひと時であった。
小林氏の話しぶりは、お世辞にも上手とは言えないがあまりにストレートで(しきりに「安倍ちゃんには腹が立って仕方ない」などと発言し、参加者を大いに笑わせてくれた)、溜飲が下がる思いがした。
伊藤氏はとても丁寧に理路整然と分かりやすく話されていた。

この後第2部として、ばんばひろふみ氏によるミニコンサートが、和気藹々とした雰囲気の中行われた。

at 20:00, もーちゃん, 憲法・教育基本法改定

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